症例報告

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夕方になるといつも頭痛がする

A.Iさん (30代)頭痛

<初診までの経緯>

デスクワークの仕事をしていて、慢性的に肩こりがありましたが、ここ2~3か月はこめかみの部分に頭痛を感じるようになってきました。マッサージでは肩が凝りすぎていて緊張性の頭痛だと言われ施術を受けていたが、マッサージした時は楽になるものの翌日にはまた頭痛が戻ってきてしまう状態でした。取引先の方のご紹介で来院しました。

<初診時の症状・検査>

夕方5時くらいになると後頭部から左側頭部にかけて「ズキズキ」する痛みが起こる。温めたり、横になると改善する。ひどくなるとまれに吐き気を感じることもある。

第2~4頸椎の顕著な伸展制限、第2頸椎左回旋変位、左右胸鎖乳突筋の筋力低下(MMT4/5)、左胸鎖乳突筋に強い圧痛

<施術と経過>

症状に対する直接のアプローチとして頸椎、胸椎、左上部肋横突関節へのアジャストメント、胸鎖乳突筋のトリガーポイント療法とその付着部へのインストゥルメントを使った筋膜リリースを行い、再発予防と姿勢改善のために臀部の筋肉のリリースと左右股関節の内旋方向へのアジャストメントを行いました。

最初の3回の施術は2週間以内に行い、90%程の改善が確認できました。その後は再発予防の目的で4週間に1回のペースで姿勢改善を中心にメンテナンス治療を行っています。ご自宅で股関節と肩のストレッチを欠かさず行ってもらっています。

<カイロプラクターより>

徐々に始まった軽度の頭痛で、持続時間が短く、頭痛以外の症状もほとんどないことから、何か重篤な病気の症状としての頭痛(二次性の頭痛)である確率は極めて低いと予想されました。

カイロプラクティックを受診される方の頭痛は、そのほとんどが肩や首の筋肉の凝りが引き起こす「緊張性頭痛」と言われていますが、一般的な緊張性頭痛ほど治りやすいかわりに再発の可能性の高いものもありません。

今回のケースでは、肩から後頭部へ伸びる上部僧帽筋という大きな筋肉の張りだけでなく、頸の斜め前に位置する胸鎖乳突筋という筋肉にできていた「しこり」のような硬結が、側頭部の広い範囲に痛みを発していたと考えられます。

このように筋肉の過剰な使用によって発生した小さな「しこり」が、離れた広範囲な部分に痛みを及ぼす状態を「筋筋膜性疼痛症候群」または「トリガーポイント症候群」などと呼びますが、なぜ離れたところに痛みを発するのかは解明されていません。

緊張性頭痛のための施術であれば、漫然と凝りをほぐすのではなく、このようなポイントをしっかり押さえて施術をおこなう必要があります。いずれにせよパソコンをのぞき込んでしまうために首、肩に過剰な負担がかかっている事が主原因と思われるので、再発を予防するためのメンテナンスとしては首肩だけでなく、腰や股関節の機能を改善し負担の少ない姿勢を維持する事が必要です。