症例報告

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今朝寝違えてしまった

M.Fさん (20代)頸の症状

<初診までの経緯>

来院日の朝、起床時に頸に痛みを感じ、身支度をしているうちに痛みが増悪。職場に到着するころには痛みでほとんど頸が動かせなくなっていました。日中も仕事にならず、会社を早退して来院されました。

<初診時の症状・検査>

頸部右回旋20°、左回旋40°、伸展45°程で右後頭蓋窩から頸部にかけて強い痛み

他動による回旋では可動域が改善

頸部伸延テスト(+)

第3、第5胸椎左回旋変位

右胸鎖関節可動性の減少、及び同側鎖骨下筋に圧痛

<施術と経過>

初診では胸椎に対するマニピュレーション(徒手による矯正)、右の胸鎖関節に対してアクチベーター(カイロプラクティック治療に使用される器機)の刺激入力を行い、頸部左回旋の可動域のわずかな改善を確認したので、残りの時間でIASTM(器具を使用した筋膜治療)による周囲筋のリリースと頸部回旋のPIR(関節を動かさずに筋肉を収縮させ緩める施術)を行いました。施術後には右回旋の可動域は45°、左回旋は70°程まで、伸展においては最大の60°まで改善しました。2日後の来院では朝方に痛みはあるものの、日中は痛みが30%程に軽減していることを確認。初診と同様の施術を行いました。さらに3日後の来院では全可動域はほぼ改善していましたが、右回旋時にのみ痛みが残っていたので、第2頸椎へのマニピュレーションも行い、可動域の改善を確認しました。1週間後のリチェックでは初診時の痛みは全て消失していました。現在では自覚症状は無いが、予防と体調管理のため月に1回のペースで頸、右肩、骨盤の歪みをとる全身のメンテナンス施術を行っています。

<カイロプラクターより>

20代前半、事務職で華奢な女性の患者さんですが、慢性的な肩こりがあり、頻繁に寝違えてしまうとの事でした。一般に寝違えと呼ばれる起床時の急性な頸の痛みには、もちろん睡眠時の姿勢(寝相)が大きく関係していますが、その前段階として体の使い方のクセに由来する骨盤、背骨の歪みやそれに伴う神経伝達の異常、筋肉の機能不全などが必ず潜んでいます。この患者さんのケースでは、初診時と2回目の施術は痛みが強かった為、表層の筋肉の痛みの緩和を目標としたアプローチを中心に行いましたが、3回目以降はもう少し根本的に右肩の歪みと背中全体への施術を行っています。患者さんいわく、寝違えがはやく治っただけでなく、肩こりをはじめ全身の体調がよくなり、眠りが深くなったとのことです。寝違えの施術と体調管理が一直線でつながっている事が実感できる症例となりました。

頸を動かすとと左腕に強い痛みがはしる

M.Sさん (50代)頸の症状

<初診までの経緯>

ここ数年仕事などで体が疲れると、左の二の腕と肩の全面にピリピリするような痛みを感じていました。一年ほど前から症状が顕著になり、整形外科で検査をしたところ下部頸椎の脊柱管狭窄症と診断されました。医者からは頸椎を広げる手術を勧められましたが、体調により症状の出かたに波があるので様子を見ながら鍼など手術以外の改善方法を探している最中にカイロプラクティックにいらっしゃいました。

<初診時の症状・検査>

頸部の伸展20度、左側屈40度、左回旋40度で左上腕外側と肩部前面に刺すような痛み。パソコンのキーボードを打っていると夕方には左腕全体がだるくなる。

バコディーサイン(+) 牽引テスト(+) アドソンテスト(肩関節伸展+頸部軽度回旋で顕著な脈の減弱)

<施術と経過>

脊柱管狭窄との診断が前提にありましたので、該当頸椎には刺激を与えず、肩甲帯や上部胸椎など周辺組織の問題を取り除き、脊柱全体としての可動域の改善と痛みの軽減を目標に施術しました。初回の施術後の可動域の顕著な改善が認められたので、週に2回で合計4回の施術を行い、改善曲線が緩やかになってきたところで週1回のペースに切り替え、ご自宅で体操とストレッチを始めて頂きました。現在は肩や頸椎の可動域がかなり回復して、痛みの強さも半分以下になりました。以前は困難だったシャツを着る動作も痛みなく行えるようになりました。経過を見ながら4週間に1度の施術を続けています。

<カイロプラクターより>

ヘルニアや狭窄症、骨の変形などの診断を受けても、ほとんどの場合痛みはそれ単体のみが原因で起こるのではありません。画像には映らない筋肉の張りや、痛みに耐えるための極端な不良姿勢、また長期間痛みに晒されているために起こる心理的なストレスなど、実にさまざまな要因が集合して、最終的な感覚としてあらわれます。この患者さんの場合は痛みによる顕著な肩甲帯(鎖骨、上腕骨、肩甲骨による大きな可動ユニット)の可動制限があり、腋の下や首の根本などで様々な神経や血管などを圧迫していた可能性がありました。狭窄症と診断されてもあきらめず、狭窄症以外の問題を根気よく改善していったので、結果として痛みが軽減、可動域が改善し、手術の必要は感じなくなったそうです。初診で来院されたときは非常に不安そうでしたが、根気よくストレッチや体操を続けていただいたり、「よくなりたい」という患者さんの強い気持ちが伝わってきた症例でした。また、プリントアウトしたMRI画像をお持ちいただいたので、どの部分をどのように、どんな理由で施術していくべき、というお話がスムーズにできたことも早い改善の助けになりました。