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検索条件:archive「2017年10月」 

【健康コラム】「睡眠と成長ホルモン」

猛暑も落ち着き、いよいよ秋の夜長に入りました。

みなさん、夜はよくお休みになれていますでしょうか?

 

最近よく患者さんにお話しさせていただくのですが、良質の睡眠はどんな健康法やサプリよりも私たちの身体を回復させるものです。「仕事が忙しくて寝る時間が短い」「睡眠時間はとっているのに朝からだるい」とおっしゃる方は多いです。心当たりのある方は睡眠の「質」に目を向けてみてはいかがでしょうか?

 

睡眠の主な目的は、

①副交感神経が優位になり脳と体を休める

②記憶の整理

③ホルモンバランスを調整し免疫力をあげる

④覚醒時に脳脊髄液に溜まった老廃物の除去

などが挙げられています。身体は私たちが寝ている間にかくも多くの仕事をしているわけです。そしてもともと私たちの身体に備わっている概日リズム(腹時計)の働きで、睡眠には「一定の段取り」がなされます。はじめは深い睡眠(ノンレム睡眠)から始まり体の回復を促します。そして深部体温を下げたまま臓器を休め、記憶の整理や血糖値の調節などをおこないます。この間に3~4回ほど浅い睡眠(レム睡眠)が訪れますが、朝が近づくとその時間が長くなり、目を覚ます準備をします。

 

ここで注目したいのが、入眠から最初の90分ほど続くノンレム睡眠中に、多量の「成長ホルモン」という筋肉の再生や、たんぱく質、脂質、糖質などの代謝を促進するホルモンが分泌されるという事です。一日のうちに分泌される成長ホルモンの70~80%がこの90分間に集中的に分泌されるといわれています。つまり最初の90分間さえ深い眠りに入ることができれば、細胞の代謝(=疲労回復)に関わる重要なホルモンが手に入るというわけです。オリンピックでは禁止薬物に指定されているほど体に影響力の強いこの化学物質ですが、私たちは毎晩、脳内で普通の食べ物から摂取したアミノ酸を材料に、自家生成しているのです。

 

寝つきが悪い、睡眠時間が確保できない、寝ても疲れている、そんな方はせめて最初の90分間だけでもをしっかり眠り、回復に必要な成長ホルモンを手に入れてください。スムーズな入眠を妨げないために以下の事を心掛けてみましょう。

① 熱いお風呂は入眠90分前に済ませる(お風呂で上がった深部体温が下がりきり、眠くなるまでにかかる時間が90分と言われています)。

② 就寝前のアルコールは控えめに(そもそも正常な睡眠を妨げます。また、睡眠中にトイレに起きると、それ以後の睡眠サイクルが朝まで乱れ続けます)。

③ 入眠時には体表の熱がうまく放散される寝具を使う(入眠時は深部体温を下げるために皮膚の表層に血液が集まり、空冷式のラジエーターのような働きをします。肌に密着する低反発の寝具などで熱発散が妨げられると体が睡眠モードに入れません)。

 

睡眠は時間が長ければいいわけではありません。ぜひ質の良い睡眠を手に入れ、日中を元気に過ごせるようにしましょう!

 

suzuki